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住宅 2018/09/27

熊本の「創造的復興」に見る地域工務店と行政の理想的な関係

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住まいの大端です。ふだんの記事とはちょっと中身が違いますがお付き合いください。

自分は住宅メディア「イエタテ」の担当として、地域の工務店さんや流通業者さんとやりとりをさせていただくのがメインのお仕事ですが、お付き合いのある「一般社団法人静岡木の家ネットワーク」さんのご厚意で、「一般社団法人JBN・全国工務店協会」環境委員会主催の「特別研修会」を拝聴してまいりました、というお話です。静岡木の家ネットワークさんはJBNさんの連携団体ですね。

まだ記憶に新しい2年前の熊本地震。非常に大きな被害となった現地で、地域の工務店さんや行政がどう連携し、復興を進めていったのか。とても貴重なお話を聞かせていただきました。

登壇されたのは熊本県住宅局局長の上妻様と、熊本工務店ネットワーク(KKN)会長の久原様。行政とKKNが連携して作り上げた木造応急仮設住宅と、その後の復興の取組みについて、異なる立場から語ってくださいました。

倒壊した家の住まい手は、当然のことながら家がありません。熊本に限らず、住宅難民となった被災者には仮設住宅が供給されるのですが、熊本の例では、一般的に設置されてきたプレハブだけでなく「高性能な木造応急仮設住宅が、地域工務店の手で多く生み出されたこと」に、実は大きな驚きがあります。

地域材を使い、地域工務店が、地域の生活者のためにつくる。

そういったかたちで循環する地域経済は、熊本県知事が言う「創造的復興」をまさに体現しているように思われます。KKNが建築した木造仮設応急住宅は500戸以上だそうですが、それだけの量の仮設住宅を、木造で、しかも地域工務店に依頼するというところに、行政サイドの心意気も感じます。「やりましょう」とすべて受け入れたKKNの漢気も。しかもかなりの高性能で、きちんと配置計画も考え尽くすという力の入れよう…!

写真は建設中に自分が撮影したものですが、仮設住宅の配置もゆとりを持ったものになっています。居住者が「あたたかさ」や「ゆとり」を感じられるように、との配慮だそうですが、被災者の方々に対する「心遣い」を感じませんか?

また、建設現場には「仮設住宅建設の心得」なるものを表掲していたとのことで、そこには「どうせ仮設だから…という考えを捨てよ!仮設だろうが個人宅だろうが人が住むところにかわりなし!」との言葉が。

出典:株式会社足立建築

上妻様には今後の復興に向けてのお話もいただきました。

「国の規定により、仮設住宅に住めるのは2年間。被災者はその間に住まいを見つけなければいけませんが、現状ではなかなか難しいでしょう。被災者のために自治体は災害公営住宅を建設していくのですが、通常のステップを踏むと多大な時間と予算がかかってしまう。優先すべきは被災者が不安を持つことなくゆとりを持って暮らせるようになることです。迅速な供給を行うために、地元工務店さんに協力いただきながら買取型という新たな手法でそれらを実現しています」
他にも、地域工務店による「くまもと型復興住宅」の普及や、地域住宅協議会を活用したマッチング支援など、まだまだ進めていくことがたくさんあるそうで…!

研修会後の意見交換会にも参加させていただいたのですが、その際にも、久原様と上妻様が楽しそうに談笑されていて、ともに危機を乗り越えてきたからこその「信頼関係」なのだろうなあ、と思ったりもしました。
ふだんの家づくりはもちろんですが、非常時にこそ、官民連携・一体となって取り組んでいくことが重要なのだと感じる時間となりましたし、我々が暮らす東海地域も他人事では済まされないよな、ということを、気持ちも新たに感じた次第です。

静岡でも「一般社団法人静岡木の家ネットワーク」や「一般社団法人富士山木造住宅協会」などが静岡県と災害協定を結んでおりますし、これらは熊本における官民連携にも負けず劣らず、地域に安心を届けることにつながっていくことと思います!

地域のプレーヤー同士の連携(共創)も、これからもっと大事にしていきたいと思います! 以上、大端でした!


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